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seven wonder!
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 いざ扉の前に立ってみると、それを押す勇気がなかなか出なかった。
 誰かが来たら便乗して一緒に入ってしまおうと思っていたのに、そういうときに限って誰も来てくれない。
 心臓をバクバクいわせながらどうしようか迷っていると、やがて背後から待ち望んだ音が聞こえてきた。誰かが階段を上って来る。
 こうなったら仕方がない、と覚悟を決めて扉の取っ手に手を掛けたその時、  
「あれ、ユウキちゃん?」
 聞いたことのある声に、はっとして振り向いた
「あ……メイさん」
 それは、姉の高校時代から友達のメイさんだった。
「ひさしぶり~!ユウナも一緒?」
「えっと……中に……いるはず」
「そっかそっか」
 ものすごい美人のメイさんは、今日も知らない男の人を連れている。
「あ、この人、ノリくんね。ノリくん、この子、ユウナの妹」
「……こんばんわ」
「どうもー、よろしくー」
 男の人と軽い感じで挨拶をしたら、さっきまでの緊張感が何だかなくなっていて、私はためらいなく扉を押すことが出来た。
───いらっしゃい」
 私と同じくらいじゃないかっていうくらい若い店員さんが、入り口横のバーカウンターの中から声を掛けてくる。
 店内は、金曜日にしては空いていた。
 だけどやっぱり聞いたこともないような音楽が流れていて、身体の芯に響くリズムが身体に心地よかった。
「何飲む?」
 ノリくんが尋ねると、
「んーと、なんか軽いやつ」
 お酒には強いはずのメイさんがそう言うのを聞いて、あれ、と思った。
「具合、悪いんですか?」
「寝不足で、ちょっとだけね」
 美容系の専門学校に通っているメイさんはメイクが上手いから気付かなかったけれど、少し顔色が悪いように見えた。
「最近、やな夢ばっかみちゃってさあ」
「夢?そのせいで眠れないんですか?」
「眠れるんだけど、寝た気がしないっていうか」
 しかも、見るのはいつも必ず同じ夢なのだという。
「ここ一カ月くらいずっと」
「どんな夢なんですか」
「女の人がね……突っ立ってこっちを見てるだけなんだけどね」
 25、6歳くらいの女の人が、悲しげな顔をしてじっと見つめてくる夢なのだという。
「でもね、寝たら必ずその夢なんだよ。気持ち悪くない?」
「知ってる人とかじゃなくて?」
「見たことも会ったこともないよ、あんな人」
 はあ、とメイさんはため息を吐いた。
「いつまで続くんだろ。ほんとやめて欲しい」
 眠れているんだから、寝不足とは違うんだと思う。変な夢のせいで、精神的に参っているという感じだった。
 夢の話の後に、姉の話や、メイさんの今の学校の話、メイさんの母校でもあるS女の話、ノリくんとの馴れ初めや、ノリくんの仕事の話をしたけれど、メイさんは時々、つらそうにため息を漏らした。
「メイ、調子悪いんなら帰ろう」
 ノリくんがそう言いだしたのも、無理はないと思う。
「え、いいよ」
「よくねーよ。そんな顔されたらこっちまで気分悪くなる」
「……わかった。ごめん」
「車、まわすわ」
 ノリくんが店を出ていくと、
「ユウキちゃん」
 メイさんが顔を寄せてきた。
「ユウナが来てるなんて言ってたけど、嘘でしょ」
「え………!?」
「ひとりでこんなとこ残していって何かあったらやだし、一緒に帰んない?」
「………はい」
 ということで、結局私も、メイさんと一緒にノリくんの車へ乗り込むことになった。
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