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seven wonder!
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 放課後、アイコが妙なことを言い出した。
「ねえ、知ってる?"全国郷土史・民俗学研究同好会"って」
「……知らない。何、その長い名前。そんなのあったっけ?」
「私もさあ、興味なかったからすっかり忘れてたんだけど……。前に吹奏楽の先輩から聞いたことあんだよね。そこの会の三年生で、ものすごく霊感の強い人がいるって」
「えええ、何か嘘くさ~」
「まあ、私もあんまり信じてはないんだけどさ」
 リカちゃん、とアイコは私に向かって言った。
「あの礼拝堂で見た……白いドレスの女の人?その先輩に話してみたらどうかな」
「……また始まった」
 アイコの言葉に、ユウキが笑みを浮かべて首を横に振っている。
「霊感なんて、単なる噂に決まってんじゃん、そんなの」
「でも、その先輩に纏わる逸話がいっぱいあるんだよー」
 アイコは口を尖らせる。
「結局あの時の幽霊……ユミ以外に見たのはリカちゃんだけだったし」
「大体さあ、ユミは何も見てないって言ってたじゃん」
「あれは絶対何か見てるよ!じゃなきゃ気を失ったりするわけないじゃん」
 確かに、そうなのだ。ユミはきっと、自分と同じモノを見て倒れたのだ。
 それは、私にとってもものすごく怖いことだった。
(次は、私が祟られる番かもしれない……)
「私、話してみようかな」
「え!やめなよ!大体話すってことは、うちらが礼拝堂に入ったってばれちゃうじゃん!」
「そうだけど……」
「もう!昨日からユウキはそればっかり!本気でユミのこと心配してる!?出来ることしてあげたいって思わないの!?」
「……思うけどさあ」
「私、今日ユミんち行ってお母さんに全部話すつもりだから」
「ええ!」
 アイコの宣言に、ユウキは反対!反対!と抗議する。
「リカちゃんはそのなんとか同好会ってとこに行ってみてくれないかな」
「うん、わかった」
「ねえ!ちょっと待ってよ!」
「何?文句ある?」
 結局、散々口論した結果、ユウキもアイコと一緒にユミの家に行くことになったから、私はふたりと別れて、ひとりクラブ棟へと向かったのだった。
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