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seven wonder!
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 きっと誰でも、一度は耳にしたことがあるだろう。
 音楽室のピアノが勝手に鳴り出したり、保健室や理科室の人体模型がひとりでに歩きまわったり……。
 どんな学校にも付き物の、ありふれた怪談話。
 昼間の教室で友人と冗談半分に話題にしたそれらを、ふと、放課後の教室でひとりきりになった瞬間に思い出してしまい、後ろを振り返ることが出来ずに慌てて教室を飛び出す。
 そう言った体験も、皆少なからず経験しているのではないだろうか。
 興味本位で怪談話を口にして、その程度で済んだとしたら、それは幸運だったのだと思う。
 私だってその程度で済んだのなら、きっと取るに足らない思い出として、記憶野の隅の方に追いやることが出来たと思う。
 しかし私の場合、その程度では済まなかった。

 これは、私がまだ私立S女学院・高等部の1年生だった頃、実際に体験した一生忘れることの出来ない出来事である。




「ユミ、今日も休みだって」
 ユウキが、アイコに向かって言った。
「おかしいよね。もう一週間だもん」
「やっぱ、あんとき何かに取り憑かれたんじゃ……」
「そんな訳ないじゃん!」
「でも、原因は絶対あの夜に見た"何か"だよ」
「だって、ユミしか見てないんだよ?私はちょっと信じらんないなあ」
「リカちゃんも見たでしょ。ねえ」
 アイコが、私の顔を覗き込んでくる。
「うん……。はっきりとではないけど」
「何かがたまたま窓に映ったんだよ。月とかさ」
「大事なのは、ホントに幽霊がいたかどうかじゃないと思う」
 アイコは赤い縁の眼鏡を持ち上げながら言った。
「ユミがあそこで幽霊を見たって思いこんでることが重要なんだよ、きっと。それでたぶん、知恵熱みたいなのが引かないんじゃないかな」
「じゃあ、どうすればいーの」
「お祓いするとか……心療内科に行ってみるとかさ」
「えー、なんかちょっと、おおげさじゃない?」
「もう!あんたユミが心配じゃないわけ!?」
「……なに怒ってんの」
 ふたりの好き勝手な会話を聞きながら、私の胸の内は罪悪感でいっぱいになっていた。
「私があんなこと言いださなければよかったんだよね」
「………リカちゃんは悪くないと思うよ?」
「そうだよ。ユミがひとりで勝手に入って行ったんだからさ」
 でもあの時、あの古い礼拝堂の窓から、白いドレスを着た女の人がこちらを見ていたと私が言いださなければ、ユミはあの礼拝堂にひとりで乗り込んでいくこともなかったし、その場で倒れてしまうこともなかったのだ。
「びっくりしたよね、あん時。人間が口から泡吹くとこ、初めてみたわ」
「まあ、すぐ眼を覚ましたからよかったけどね……」
「……………」
 あの夜の、いきさつはこうだった。
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